◎サイン会で、著者にサインを請っている場面を想像して下さい。本をさし出すと、即座に本に署名されます。この「吉田ルイ子のアメリカ」サイマル出版会1980年刊行は、逆にさし出された結果のようです。
◎<意外な結末が待っています。あなたはここで。おやめになることができますか? もしやめられたら代金をお返しします>
 B・S・バリンジャー「歯と爪」東京創元社 創元推理文庫 1988年刊 15版 では、結末232ページ〜306ページまでが、封じ込みです。未開封であれば、本の代金は返金(特に期限の明記はありません)されます。ただし、≪直接小社まで持参(または郵送)≫と封にあります。表紙うらには米国版の原書写真を掲載していますが、そこでは、≪未開封で書店にお持ちくだされば、返金いたします≫とありますから、米国の方が容易ですね。
 ≪本の下取りをします!!≫は久保書店にもありました。Q−Tブックス・シリーズ、ジョン・ブラナー「原始惑星への脱出」の帯には本の下取り規定≪Q−Tブックスのカバー折り返し部分にある「下取り引替券」と不要になった本、一冊分のカヴァ及びその本の51〜80ページの部分を切り取って、お送り下さい。・・・下取り価格は定価の半額とします。期間は昭和54年12月31日まで。≫とあります。愛書家にとっては気の引ける作業の強制でした。

◎ピエール・ブール『猿の惑星創元文庫版は翻訳者・大久保輝臣<訳者あとがき>がユニーク!。
 まずは第1章、著者略歴紹介。第2章、本書の解説。第3章、翻訳の底本の紹介。フランス語原書を元に翻訳ですが、ペンギン叢書の英訳版も参照の故。このあたり、間々ある処方です。当『猿の惑星』同年2月に早川書房にて小倉多加志訳が既に刊行されており、こちらも参照の故、深く謝意。・・・・ここから、「最期に本訳書刊行について若干触れておきたい。」と佳境。小倉訳が出ているのに、後追いして刊行するのは不本意であり、その理由は、これだ!!・・・
 第1に東京創元社が独占して保有している日本語版翻訳権を他出版社が共有して出版しえたという事実は奇怪である!。
 第2に早川書房版の小倉訳は英語版を訳出したために、誤訳が多々ある。己れの訳出は原典からの直接訳だ!。
 第3に己れの翻訳が遅れたのがまずかった。東京創元社さん、すまん!。
◇先んじられた大久保輝臣氏、忿懣やるかたなしの様相です。◇
◎フランス語原典⇒英語訳版⇒日本語重訳ではこちらもユニーク。巻頭の<英譯本及び、お願の一件>でフランス語に自信なく英文よりの重訳も仕方ないが、用いた英文本は拙劣を極めたものだと前置き。『エプタメロン国際文献刊行會(上巻大正15年/下巻昭和2年3月25日)梅原北明訳です。
 この訳者・梅原北明氏、自ら編集する雑誌『文藝市場』では大正15年11月号に「近代筆禍文献號」あります。野坂昭如『好色の魂』のモデルであり、三崎書房の雑誌『えろちか』昭和48年1月号にて"エロスの開拓者・梅原北明の仕事"のタイトルにて特集号ありました。
 当時のことですから、訳本『エプタメロン』では、あちこち伏字のままですが、そこは権威?の梅原氏、"翻譯の誤謬に就いて"の一紙を添え、読者の期待に応じたようです。なを、不審な箇所の問い合わせ先き住所は上記『文藝市場』の編集・発行所でもあります。
巻末に目録ありますが、これ世界奇書異聞類聚の第5回と7回の配本ですから7ケ月隔てた発行、随分のんびりな刊行だったようです。

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