◎下記の大江健三郎『政治少年死す』と深沢七郎『風流夢譚』は堂々揃って全文解禁されました。鹿砦社発行の雑誌「スキャンダル大戦争」第2号(2002年9月刊行)です。板坂剛「幻の小説を読む」の解説をつけて、中央公論、文学界からのコピーを、まるごと転写掲載たものです。口絵にも掲載された、いかにもスキャンダル「マリリン・モンローのデスマスク」記事の直後の118〜179ページの長文です。これで大江健三郎の「セブンティーン」は1、2部と再読ですね。
◎日本評論社に戦後資料シリーズ/全5巻(『戦後資料マスコミ』・『沖縄』中野好夫編・『文化』南博編・『日米関係・日中関係』)あります。このシリーズ1巻『戦後資料マスコミ』日高六郎篇、4300円(1970年4月30日刊)、しっかり(重さ1.5kg)した、厚手500ページの本です。小ポイント活字でぎっしり。たしかに資料本、内容もしっかりものです。
 29章迄あり、◇9章・チャタレー事件◇26章・サド「悪徳の栄え」裁判◇の各章では、あえて問題部分の全文を掲載してます。今日、澁沢龍彦訳『悪徳の栄え(続)』現代思潮社(昭和34年刊)・無削除版の入手いろいろ難しいですが、ここでは削除部分、手軽に確認できちゃいます。削除部分って以外と沢山あるんだなあと、『チャタレー夫人の恋人』とあわせて変に感心?しちゃいます。
 ◇17章・嶋中事件等と「思想の科学問題」もあります。こちらの嶋中事件は主旨?違うので、昭和35年「中央公論」12月号掲載・深沢七郎『風流夢譚』原文のせてません。『風流夢譚』は奥崎謙三『宇宙人の聖書』サン書店、900円(1976年刊)に全文あります
 そうそう同時期に雑誌「文学界」昭和36年2月号の大江健三郎『セブンティーン』第2部『政治少年死す』も雑誌掲載のままになったきり、こんども全集に入りませんでした。ときどき、古書展目録に不許可らしき冊紙をお見かけしますけど。(上記解禁)
◎例の野坂昭如編集『面白半分』昭和47年7月号掲載の金阜山戯作「四畳半襖の下張」は1997年初旬、新潮社のインターネット・ホームページ[Web新潮」の「幻の名作全文掲載」のコーナーで「伝永井荷風作『四畳半襖の下張』」のタイトルで完全公開になりました。(CD-ROM「Web新潮Library」1997/12/20発行では「四畳半襖の下張」と伝・芥川龍之介「赤い帽子の女」の全文朗読音声入りです。原文の方では電子ブック形式の特徴を生かし難語には吹出注釈をつけ、野坂昭如の解説あり、判決文を全文収録するなど、徹底的に「発禁問題」にこだわります。また雑誌『新潮45』1999年9月号・特集/発禁本採録「幻のポルノを読む」でも、この2編に加え、伝・田村泰次郎「有楽町夜景」「続有楽町夜景」を掲載してます。)
「面白半分」にも城市郎の解説文ありますけど、古いものでは昭和25年6.7月号『人間探究』に「『四畳半の作者は荷風か』」の一文あります。(この覆面文人、城氏の著書によると、『国文学解釈と観賞』の臨時増刊号『秘められた文学』昭和39年10月号/昭和45年5月号に掲載の「秘稿四畳半襖の下張」の筆者・夏川文章=松川健文のようです。ロゴス社の松川健文氏といえば完訳版ヘンリー・ミラー『セクサス』などの訳者・木屋太郎でもあります。氏は昭和23年頃に奥付けなしの和本仕立て『四畳半襖の下張』を出版してます。
 ところで、永井荷風には大正6年7月に雑誌『文明』掲載の『四畳半襖の下張(一)』ありますけど、事情ゆえの未完でした。
◎問題部分をあえて掲載した本では益子政史/ペンネーム野川浩に『猥褻とは何か・第一審判決から最高裁まで』三一書房(1973年11月30日)あります。自著の『若い樹液』日本出版センター(1969年)、『孤愁の影・下巻』不死鳥社(1970年5月)、『孤愁の影・上巻不死鳥社(1970年2月)、オリエンタル商会『未完成恋愛論』3分冊(1971年3月)のうち青表紙と赤表紙、それぞれ問題部分をあえて公表しました。
 結局、唯一フリーになった『孤愁の影・上巻』は、『復活版/孤愁の影・上巻』(1974年2月)として新たに野川氏の付記をつけ、不死鳥社より復刊されました。この表紙の著者直筆、なぐり書き宣伝文句は『『自伝・孤愁の影』(1970年5月)にもみられます。

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